市長の部屋

随想集

平成23年5月

 東日本大震災の発生からまもなく2か月が経過しようとしております。被災者の方々は、現在も長期化する避難生活を余儀なくされ、そして福島第1原子力発電所の事故は、一向に収束の兆しが見えないというのが現在の状況であります。本市が開設した避難所にも、福島県浜通り地方から避難してきた方々を中心に、一時200人弱の方々がおりましたが、仮設住宅が建設されるまでの間、二次避難先である市内の温泉旅館で生活を送ることになりました。避難所での生活とは違い、家族単位での空間が確保できること、一定のプライバシーが保護されること、そして何よりも温かい温泉につかりくつろげることや、柔らかい布団で体を休めることができるため、精神的に大きな傷を負った避難者の方々にとっては、心身の回復に大きな効果をもたらすものと考えております。
 さて、豪雪に見舞われ、寒さが厳しかった冬が終わり、本市にもようやく暖かい春が訪れるとともに新しい年度を迎えました。例年この時期は、歓送迎会や花見の宴がいたる所で催され、1年のうちで最も賑わう時期でありますが、このたびの東日本大震災の被災者を気遣うため、震災直後から観光や宴会、飲食の機会における過度の自粛ムードが広がり、地域経済にとっては大きな打撃となっております。一時期、歓送迎会などで賑わうはずの飲食店等は活気を失っておりましたが、発生直後と比較すると、客足は戻ってきているように感じております。「自粛」という負の連鎖を排除し、正常な経済活動を取り戻すことが、ひいては被災地の復興への最大の貢献であることを、皆さまも十分理解していただきたいと思います。
 本市では先月、臨時議会を開会し、東日本大震災に伴う緊急経済対策の一環として、県の融資制度に対し利子の全部又は一部を補給する独自の新たな制度の創設や、震災被災者に対する入湯税の減免に係る専決処分について承認をいただいたところです。今後とも、震災と原子力発電所事故の影響が懸念される農業を含めた地域の産業を中心に、必要かつ十分な支援体制を確立していかなければならないと考えております。
 いずれにしても、福島第一原子力発電所事故の収束なくしては、被災地の復興は一向に進まないと考えております。東京電力と政府関係機関には、一刻も早く原子力発電所事故を収束していただき、国民が放射線という見えない脅威から解放され、震災前の平穏な生活を取り戻すことができることを願っております。

天童市長 山本信治

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